2003 年 44 巻 12 号 p. 656-662
44歳, 女性 (症例1). 全身性エリテマトーデスの治療中に肝機能障害が生じ, 当科受診. IgM高値, AMA陽性であり腹腔鏡では赤色パッチを認めた. 病理所見では慢性非化膿性破壊性胆管炎は確認できなかったが, 総合的にPBC (無症候性) と診断した. 75歳, 男性(症例2, 症例1の父). 検診で肝障害の指摘があり当科受診. AMA陽性, 病理所見で胆管消失像を認めPBC (無症候性, Ludwig IV期) と診断した. 両者ともHLA DRは4, 6が陽性であった. 本邦でのPBC家族内発症は33家系の報告があるが, 父娘の関係は自験例が3例目であった. PBC家族内発症例におけるHLA DR抗原の頻度はDR8 43.4%, DR2 35.8%, DR4 32.1%の順で多かったが, 家族内発症例に特異的といえる程のものはなかった.